「しばらく、教員の仕事はしない」
退職したとき、私はそう決めていました。ところが次の年度、退職した学校の校長先生から「短期間、講師として来てくれない?」と声をかけてもらったんです。教員不足で、ピンチヒッターを探しているとのことでした。
- 辞めたあとも学校で働けるのかという疑問
- 講師はどんな働き方なのかという興味
- 子育てと両立できるのかという不安
- 担任とどう違うのかという迷い

一度辞めても、また学校で働けるんですか?

働けますよ。私は週2日だけ、講師として戻りました。
結論から言うと、週2日・10時から15時の講師なら、苦しくなく働けました。担任としてフルで働くのは、今の私にはキャパオーバー。でも、講師という働き方なら無理なく続けられると分かったんです。
この記事では、3か月だけ講師として戻った私の体験と、担任との違い、講師として働くための方法をお伝えします。
講師として戻ったきっかけ

まずは、私が講師として学校に戻ることになったきっかけからお話しします。
退職したとき、私は「しばらく教員の仕事はしない」と決めていました。フリーランスとして、新しい働き方を始めたばかりだったからです。それでも引き受けたのには、いくつかの理由がありました。
ここでは、声をかけてもらった流れと、引き受けようと思った気持ちを書きます。
退職した学校の校長からの声
声をかけてくれたのは、私が退職したときの校長先生でした。
場所も、退職した小学校です。辞めるときには、一人ひとりに挨拶をして、最後まで手を抜かずに働きました。そうして別れた職場から、もう一度声をかけてもらえたのは、素直にうれしかったです。
教員不足のピンチヒッター
声がかかった理由は、教員不足でした。
先生が足りず、短い期間だけでも授業を受け持てる人を探していたんです。「辞めた人」でも、学校から必要とされることがあると知ったのは、大きな発見でした。
どんな感じか知りたくて
引き受けた決め手は、条件と気持ちの両方でした。
お世話になった校長先生からの話だったこと。勤務の時間が短く、週あたりの日数も少なかったこと。そして何より、「講師として働くのは、どんな感じなんだろう」と知りたくなって、やってみることにしました。

辞めた学校から声がかかることもあるんですね。
私の講師の働き方

ここからは、私が実際にしていた講師の働き方を紹介します。
講師と一口に言っても、毎日フルで働く形から、授業の時間だけ行く形まで、いろいろあります。私の場合は、かなり短い時間の働き方でした。だからこそ、子育てと両立しながら続けられたんです。
勤務の時間、担当した仕事、準備のしかたの3つに分けてお伝えします。
週2日・10時から15時
勤務は、週2日。時間は10時から15時まででした。
期間は3か月だけの、臨時の講師です。平日の毎日ではなく、週2日だけという条件だったので、気持ちにも余裕を持って引き受けられました。
2教科の授業とT2のサポート
担当したのは、2つの教科の授業です。
自分が授業をする時間のほかは、T2として教室に入り、担任の先生の授業をサポートしていました。T2は、授業の中で子どもたちを個別に見て回ったり、手助けをしたりする役割です。
準備は自分の時間で間に合った
授業の準備は、勤務の時間の中で十分に間に合いました。
受け持つ授業が少ないので、準備にかかる時間も少なくてすみます。家に仕事を持ち帰らなくていいのは、担任のころとの大きな違いでした。

準備が勤務時間で終わるだけで、気持ちがぐっと楽になりますよ。
担任との違い

講師として働いてみて、いちばんはっきり分かったのが、担任との違いです。
担任としてフルで働く毎日は、今の私にはキャパオーバーでした。でも、講師の働き方なら苦しくない。同じ学校で、同じように子どもたちと関わる仕事でも、働き方が変わるだけで、こんなに気持ちが違うのかと驚きました。
ここでは、担任と講師の違いを3つに分けて書きます。

朝も夕方も余裕がある
1つ目は、時間の余裕です。
朝は、子どもたちを学校に送り出してから、余裕を持って出勤できました。帰りは、子どもたちが帰ってくるころには家に着けます。担任のころの、朝から夜まで追われる毎日とは、まったく違いました。
受け持つ授業が少ない
2つ目は、受け持つ授業の数です。
担任は、ほとんどの教科の授業を受け持ちます。講師の私は2教科だけだったので、一つひとつの授業の準備に、落ち着いて向き合うことができました。
学級担任の責任がない
3つ目は、責任の重さです。
担任のころは、クラスのことすべてを背負っていました。子どもたち一人ひとりのこと、保護者とのやりとり、学級の行事。学級担任の責任がないだけで、心の重さがまったく違いました。

同じ学校の仕事でも、働き方でこんなに変わるんですね。
講師をしてよかったこと

3か月だけの講師でしたが、やってよかったと思うことがいくつもありました。
フリーランスとして働き始めていた私にとって、学校に戻る時間は、思っていた以上に新鮮でした。教員を辞めたからこそ、学校で働くことのよさを、あらためて感じられた気がします。
ここでは、講師をしてよかったことを3つ紹介します。
定額でお金が入る安心感
1つ目は、毎月決まったお金が入る安心感です。
フリーランスは、月によって収入が変わります。講師として働いた期間は、決まった額のお給料が入るので、気持ちの面でも安心できました。
子どもたちといるのは楽しい
2つ目は、やっぱり子どもたちといるのは楽しいと感じられたことです。
授業で子どもたちの反応を見たり、一緒に考えたりする時間は、やはり特別でした。教員の仕事が嫌いになって辞めたわけではないと、あらためて気づけた時間でもあります。
いろいろな大人と話せる
3つ目は、いろいろな大人と話せることです。
フリーランスの仕事は、家で一人もくもくと進めることがほとんど。学校に行くと、先生や職員さんなど、いろいろな大人と話せるのが楽しかったです。

一人で働く人ほど、人と話せる時間のありがたさを感じますよ。
講師の働き方の注意点

いいことの多かった講師の働き方ですが、知っておきたい注意点もあります。
講師は、正規の先生とは違う働き方です。期間や条件が決まっていることが多く、自分から動かないと、次の仕事にはつながりません。私自身も、やってみて初めて気づいたことがありました。
ここでは、講師として働く前に知っておいてほしいことを3つお伝えします。
期間が決まっている働き方
1つ目は、働く期間が決まっていることです。
私の場合は、3か月だけのピンチヒッターでした。期間が終われば、仕事も終わります。ずっと続けられる仕事ではない、という前提で考えておくことが大切です。
登録しないと声はかからない
2つ目は、講師登録をしていないと、次の声はかからないことです。
私は、校長先生から直接声をかけてもらったので、講師登録はしていませんでした。そのため、それ以降は一度も声がかかっていません。講師を続けたいなら、教育委員会への登録が必要です。
週5日やフルタイムは別もの
3つ目は、週2日の講師と、週5日やフルタイムの講師は別ものだということです。
私が苦しくなく働けたのは、週2日・短時間という条件があったからです。週5日になれば、時短でも苦しくなるかもしれないと感じています。自分に合う条件かどうかを、しっかり見ることが大切です。
講師として働くには

「私も講師として働いてみたい」と思った方に、講師として働くまでの方法をお伝えします。
講師の仕組みや登録の手続きは、都道府県や市によって違います。ここで紹介するのは、いくつかの教育委員会の案内をもとにした一般的な内容です。くわしくは、住んでいる地域の教育委員会のサイトで確かめてください。
講師の種類、登録のしかた、教員免許の3つについて、順番に説明します。

講師の種類を知る
講師には、大きく分けて2つの働き方があります。
- 臨時的任用の講師:期間を決めて常勤で働く
- 非常勤講師:授業の時間だけ短時間で働く
臨時的任用は、産休や育休、病気休暇の先生の代わりなどで、期間を決めて常勤で働く形です。非常勤講師は、授業の時間だけ働く形で、週1〜3回ほどの短い働き方の例もあります。
教育委員会に講師登録する
講師として働きたいときは、教育委員会に講師登録をします。
講師登録は、仕事をもらうための「応募の窓口」のようなものです。登録しただけで雇われるわけではなく、先生が足りなくなったときに、登録した人の中から声がかかります。働ける曜日や時間の希望を伝えられる地域もあります。
教員免許を確かめる
登録の前に、教員免許を確かめておきましょう。
2022年7月に教員免許の更新制がなくなり、免許に有効期限はなくなりました。ただし、それ以前に免許が切れていた場合は、もう一度授与の手続きが必要になる地域もあります。
参考:大阪府教育委員会「講師登録の概要」/香川県「臨時的任用講師」/神奈川県「講師登録」/さいたま市「臨時的任用」/文部科学省「教員免許更新制」
※講師の種類や登録の手続き、条件は地域によって異なります。
これからの講師との付き合い方

最後に、これから講師の仕事とどう付き合っていくかについて、今の私の考えをお伝えします。
講師を経験して、「学校で働く道は、辞めたあとも残っている」と実感できました。ただ、すぐにまた講師をしたいかと聞かれると、答えは少し複雑です。子どもたちの成長や、自分の働き方とのバランスがあるからです。
ここでは、私が講師の仕事とどう向き合っていきたいかを書きます。
タイミングと条件が合えば
これからまた講師をするかは、タイミングと条件次第だと思っています。
短い時間、少ない日数なら、また働いてみたい気持ちもあります。ただ、フルタイムは、きっとやりきれないだろうな、というのが正直なところです。
子どもの成長と自分のキャパ
考えるときに大事にしたいのは、子どもたちの成長と、自分のキャパです。
子どもたちが大きくなれば、使える時間も変わってきます。そのときの家族と自分に合う働き方を選べばいいと思っています。
戻れる道があるという安心
何より大きいのは、戻れる道があると分かったことです。
「辞めたら二度と学校には戻れない」と思っていたころより、今はずっと気持ちが軽くなりました。辞めることへの不安と後悔については、教員を辞めて後悔した?【元教員ママ】後悔ゼロでいられた3つの準備に書いています。

辞めても、学校とのつながりはなくならないんですよ。
講師のよくある質問

最後に、教員を辞めたあとに講師として働くことについて、よく聞かれる疑問にお答えします。
講師の条件や手続きは、地域によって大きく違います。ここで紹介するのは、私の体験と一般的な内容です。正確な情報は、住んでいる地域の教育委員会で確かめてくださいね。ブランクがあっても大丈夫か、子育て中でも続けられるかなど、迷いやすいことを6つ選びました。
ブランクがあっても講師になれる?
なれる地域が多いです。退職して時間がたっている人や、ブランクがある人にも、講師登録を呼びかけている教育委員会があります。私も、退職した次の年度に講師として働きました。
教員免許の更新は必要?
必要ありません。2022年7月に更新制がなくなり、免許に有効期限はなくなりました。ただし、それより前に免許が切れていた場合は、手続きが必要になることがあります。
週何日から働ける?
非常勤講師なら、週1〜3回ほどの短い働き方の例もあります。私は週2日、10時から15時まで働きました。働ける日や時間の希望は、登録のときに伝えておきましょう。
子育て中でも続けられる?
条件次第で続けられます。私の場合は、子どもを送り出してから出勤して、帰ってくるころには家に着ける時間でした。勤務の日数と時間が、家庭に合っているかどうかがいちばん大切です。
講師の給料はどうなる?
給料は、地域や働き方によって違います。前の勤務の経歴に応じて、給料が決まる地域もあります。私は、毎月決まった額が入る安心感を感じました。
フリーランスと両立できる?
働き方によって、ほかの仕事に関する決まりが違います。短時間の非常勤講師は比較的自由なことが多いようですが、届け出が必要な地域もあるので、働く前に確かめてください。公務員の副業の決まりについては、教員は副業できる?許可のしくみと、選択肢を知っていた私が折れずに済んだ話も参考にしてください。
※講師の条件や手続き、ほかの仕事との両立の決まりは、地域や勤務の形によって異なります。くわしくは、住んでいる地域の教育委員会に確認してください。
まとめ|自分に合う関わり方を

教員を辞めたあとでも、講師として学校で働く道はあります。担任フルはキャパオーバーでも、週2日の講師なら苦しくなく働けました。
- 退職した学校の校長から声がかかった
- 週2日・10時から15時、3か月の講師
- 担任との違いは時間・授業の数・責任
- 続けたいなら講師登録が必要
- 子どもの成長と自分のキャパで決める
講師として働いてみたいと思ったら、まずは住んでいる地域の教育委員会のサイトで、講師登録の案内を見てみてください。働ける日や時間に合う働き方が、きっと見つかります。

学校との関わり方は、ひとつじゃありませんよ。
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