「教員を辞めたい。でも、生活していけるだろうか」
いちばん大きな不安は、たぶんお金だと思います。
先に、いちばん大事なことを書きます。
「いくらあれば安心か」に、共通の正解はありません。
家族の人数も、住んでいる場所も、家賃やローンの額も、全部違うからです。誰かの「月◯万円あれば大丈夫」は、あなたの答えにはなりません。
だからこの記事では、金額ではなく、計算のやり方を書きます。
私が辞める前に実際にやった手順です。そのまま真似してもらえるように書きました。
手順1|1年分の支出を、4つに分けて書き出す
まずやったのは、支出をすべて書き出すことでした。
このとき大事なのが、1か月分ではなく1年分で見ることです。そして、4つに分けて書き出します。
4つの分け方
支出を「毎月かかるか/たまにかかるか」と「額が決まっているか/変わるか」の2軸で分けます。
| 額が決まっている(固定費) | 額が変わる(変動費) | |
| 毎月かかる | 住居費、水道光熱費、通信費、保険料、習い事、サブスクなど | 食費、日用品費、被服費、医療費、交通費、ガソリン代など |
| たまにかかる | 税金、車検、火災保険、年会費、学校の授業料など | 家電の買い替え、車の購入、旅行、冠婚葬祭、入学卒業、病気やケガなど |
なぜ4つに分けるのか
毎月の支出だけを見ていると、必ず足りなくなるからです。
車検も、税金も、冠婚葬祭も、毎月は来ません。でも1年で見れば確実に来ます。ここを計算に入れていないと、「毎月は黒字なのに、なぜか貯金が減る」ということが起きます。
私はこの4つの枠に沿って、思いつく支出を全部書き出しました。
手順2|いちばん漏れる「たまにかかる・額が変わる」を埋める
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
私がいちばん書き漏らしたのは、この枠でした。
家電の買い替え、車、旅行、冠婚葬祭、子どもの入学や卒業、病気やケガ。
これらは「いつ来るか分からない」うえに「いくらかかるか分からない」ので、頭から抜け落ちます。でも、1年を振り返れば必ず何かは起きています。
我が家の場合は、冠婚葬祭でした
書き出してみて驚いたのが、冠婚葬祭費です。
我が家は親戚づきあいが多いほうです。1回ずつは大きな額ではなくても、1年で合計すると、思っていたよりずっと多かったのです。
毎月の家計簿を見ているだけでは、絶対に気づきませんでした。
埋め方のコツ
この枠を埋めるには、過去1年を思い出すのがいちばん確実です。
- 去年、何を買い替えた?
- 誰かの結婚式やお葬式に行った?
- 旅行や帰省に、いくら使った?
- 病院にかかったことは?
思い出せない場合は、通帳やクレジットカードの明細を1年分さかのぼると出てきます。少し手間ですが、ここをやるかどうかで精度がまったく変わります。
手順3|減る支出も計算に入れる
ここも見落としやすいところです。
辞めると収入は減ります。でも、支出も減ります。
私の場合、はっきり減ったものが3つありました。
被服費
働きに出る服が要らなくなりました。単純な話ですが、これは確実に減ります。
外食費
時間に余裕ができたぶん、家で食べる回数が増えました。
娯楽費
これは、自分でも意外でした。
私は、ストレスでお金を使っていたようです。
疲れている日ほど、何かを買ったり、何かを頼んだりしていました。それが、余裕ができたら自然と減った。
「ストレス発散のための支出」は、家計簿の上では娯楽費や外食費に紛れていて、自分では気づきにくいものです。でも、確かにありました。
収入が減るぶんだけを心配していると、この「減る支出」が計算から抜けます。
手順4|判断の基準を決める
支出が書き出せたら、次は判断です。
私が見たのは、この2つでした。
1. 毎月、黒字になるか
必要な経費を全部出したうえで、毎月の収支が黒字になるかを確認しました。
赤字なら、その時点で計画を見直す必要があります。私の場合は、黒字で回る見通しが立ちました。
2. ボーナスに手をつけずに済むか
我が家では、ボーナスを使わずに貯蓄に回せるかをもうひとつの基準にしました。
毎月の収支が黒字で、なおかつボーナスを崩さずに済むなら、「たまにかかる支出」にも対応できるからです。
この2つがクリアできたので、「いける」と判断しました。
※家計の状況やご家族の働き方によって、見るべき基準は変わります。判断に迷う場合は、お住まいの自治体の窓口や、お金の専門家に相談してください。
1年やってみて、計算は合っていたか
答えは、だいたい予想通りでした。
大きく外れたところはありません。想定していなかった大きな出費もなく、計画どおりに進みました。
これは、私がすごいのではなく、事前に1年分を書き出したからだと思っています。
計算していなければ、「思っていたより出ていく」と慌てていたはずです。
そして何より、慌てずに済んだこと自体が大きかった。お金の不安を抱えたまま新しい仕事を始めるのと、見通しを持って始めるのとでは、気持ちの余裕がまったく違います。
まとめ|「いくら必要か」は、自分で出すしかない
もう一度書きます。
「月◯万円あれば大丈夫」という共通の答えはありません。
だから、自分で計算します。手順はこの4つでした。
- 1年分の支出を、4つに分けて書き出す
- いちばん漏れる「たまにかかる・額が変わる」を埋める
- 減る支出も計算に入れる
- 判断の基準を決める(毎月黒字か、貯蓄を崩さずに済むか)
手間はかかります。私も何日かかけました。
でも、この作業をしたおかげで、家族と話すときも数字で説明できました。「なんとかなると思う」ではなく「こうなるから、こうやっていける」と言えたのは大きかったです。
不安の多くは、「わからない」から生まれます。
計算してしまえば、わからないが減ります。


コメント